研究倫理綱領

一般社団法人日本運動・スポーツ科学学会 研究倫理綱領

一般社団法人日本運動・スポーツ科学学会(以下:本学会)は、運動・スポーツ科学、健康科学、体育およびそれら関連分野(以下:運動・スポーツ科学)の研究に関する「一般社団法人日本運動・スポーツ科学学会研究倫理綱領」(以下:研究倫理綱領)を制定し学会内外に公表する。


<目的>
 本研究倫理綱領は、本学会を構成する会員・社員・役員(以下:構成員)が遵守すべき規範を示したものである。本学会は、運動・スポーツに関する学術研究および教育を進展させ、その成果を社会に還元、ひいては人類の福祉や文化の向上を目指す、運動・スポーツ科学の研究者・教育者が集結した学会である。構成員は、本研究倫理綱領に基づいた活動・研究成果により得られた無形・有形財産を適切に社会に還元し、運動・スポーツ科学の研究を進展させなければならない。運動・スポーツ科学の研究は、「個人情報保護法」や「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」及び「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」等に基づく研究対象者の持つ人権の尊重・保護、社会的影響等について常に配慮すべきものでなければならない。また、実験動物を扱う研究では、「動物の愛護及び管理に関する法律」等を遵守し、実験動物に無用な苦痛を与えず愛護し、適切に管理しなければならない。
 運動・スポーツ科学の研究の進展は、社会的信頼および理解を基盤として成り立っているとの自覚と認識に立ち、真理の探究を誠実に行うために、研究者等が自らを律して研究活動を行わなければならない。そこで、本学会は、構成員に対し、運動・スポーツ科学の研究における倫理的課題への自覚と認識を強く促すことを目的に、ここに研究倫理綱領を定める。

1.倫理的妥当性
 構成員は、運動・スポーツ科学の研究に関する研究倫理綱領を遵守しなければならない。

2.人権の尊重
 構成員は、運動・スポーツ科学の研究にあたり、研究対象者の人権を最大限尊重するとともに、インフォームド・コンセントの、社会的弱者にあってはインフォームド・アセントの考え方・手続きを遵守しなければならない。

3.実験動物の愛護
 構成員は、研究遂行にあたり実験動物を扱う場合は、3R:「できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること(Replacement:代替)」、「できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること(Reduction:削減)」、「できる限り動物に苦痛を与えないこと(Refinement:洗練)」を遵守し、実験動物の愛護・管理に努めなければならない。

4.プライバシーの保護
 構成員は、運動・スポーツ科学の研究にあたり、調査を行うにあたって個人情報やプライバシーの保護に最大限留意しなければならない。また、研究の成果公表にあたっては、対象機関や対象者の意向を尊重すること。

5.公正と信頼の確保
 構成員は、運動・スポーツ科学の研究にあたり、公正を維持し、社会の信頼を確保しなければならない。

6.差別の禁止
 構成員は、運動・スポーツ科学の研究にあたり、年齢・障害の有無・人種・肌の色・性別・性的指向・言語・宗教・政治的またはその他の意見・国あるいは社会的な出身・財産・出自やその他の身分など、あらゆる形態の差別をしてはならない。

7.ハラスメントの禁止
 構成員は、運動・スポーツ科学の研究にあたり、セクシャル・ハラスメントやアカデミック・ハラスメントなど、各種ハラスメント行為をしてはならない。

8.研究資金の適正な取扱い
 構成員は、研究資金を適正に取り扱わなければならない。

9.著作権侵害等、不正行為の禁止
 構成員は、著作権の侵害、捏造・改ざん・剽窃・盗用・二重投稿・なりすまし等の不正行為をしてはならない。

10.研究の独創性
 構成員は、自らの研究と過去の研究成果や知的財産との関係を正しく理解・認識し、自らの研究の独創性を客観的かつ正確に示せるよう努めなければならない。

11.利益相反マネジメント
 構成員は、社会的信用を損なうことがないように、利益相反マネジメントの適切な開示に努めなければならない。

12.研究成果の公表
 構成員は、定款に定められた事業を通して、研究倫理綱領に則り研究成果の公表に努めなければならない。

13.相互批判・相互検証の場の確保
 構成員は、相互批判・相互検証の場の確保に努めなければならない。

14.研究倫理綱領の周知
 本学会は、研究倫理綱領の周知徹底に努めなければならない。

附則
1.本学会は、運動・スポーツ科学の研究における倫理的な課題に応じるため、「研究倫理委員会」を置く。
2.本学会における研究倫理委員会は、本学会に所属する会員が実施する研究活動の信頼性と公正性を確保することを目的とし、本学会が実施する研究活動に携わる全ての研究者が自覚および遵守すべき綱領を定める機関である。また、理事会の要請に応じて倫理的問題について検討する。
3.本研究倫理綱領の改訂は、研究倫理委員会が行い、理事会の議を経て定める。
2023年11月18日 理事会承認